ワインの文化や仕組み、その理論を学びたい方に送る書評

書評

今回の書評は『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』です。

お金持ち×オシャレ×飲み物
=ワイン

これは僕がワインに対して抱いていたイメージです。
(怒られても仕方ないかと、、)

そして、正直なところを言うと、
この本を読むまでワインを飲んだことすらありませんでした。

しかし、興味と下心からワインを勉強したいと考えていました。

以上の経緯で、この本を読み、ワインの勉強をしてみようと思ったわけです。

読後、
言えることは、絶対に!絶対に!!
もっとワインを知りたくなるはずです。

今では下心0で、ワインの歴史、種類、製法、味、料理との組み合わせなど、
ワインの勉強をしています。

  • ワインの概要を知りたい人
  • ワイン初心者
  • 世界でビジネスをしてみたい人

にオススメします!

概略

まず、本書『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』に名前通りの期待を持たない方が良いと感じました。

というのも、
ワインの基礎的な知識が、初心者向けに書かれており、本気でワインの検定を取りたい方やワインで困ったときの辞書として使いたい方向けではないと感じたためです。

「ビジネスエリート」「教養」と書かれているのですが、
実際は、ワインを学ぶための導入本に近いです。

本書は3部構成で、主に国単位で分けてあります。

  1. ワイン伝統国「フランス」を知る
  2. 食とワインとイタリア
  3. 知られざる新興国ワインの世界

新興国:
ワインの生産国は「旧世界(オールドワールド)」と
新世界(ニューワールド)」に分類される。
そして、新世界とは、ワインの歴史が浅いヨーロッパ以外の国々のことを指し、
ワインの新興国とも呼ばれる。
主にアメリカ、中国、チリ、アルゼンチン、オーストラリアなどの国々が新興国で、
価格が比較的安く、香りや味わいがしっかりとした万人受けするワインが多く造られています。

各国の特徴

ワインにおけるフランスイタリアの特徴を2項対立的な視点でまとめてみました。

フランス

ワイン生産量世界第2位

ローマ帝国時代に、政治家であり軍人のジュリアス・シーザーが、
やせた土地でも栽培が容易なぶどうの性質を生かし、
遠征先の地で栄養補給源として、ワインの生産を広めました。

1935年に、産地ごとのルールを細かく定めたAOC法(原産地統制呼称法)が制定。

現在、AOC法の基準を満たしたフランスワインは、国からお墨付きをもらった証明であり、
高いブランド力を維持するために必須な条件の1つとなっています。

ドン・ペリニヨン(ドンペリ)やロマネコンティ
というワインを聞いたことがあるのではないでしょうか。

これらをはじめとしたフランスワインの知名度の高さは国によるブランド管理によるものでしょう。

国によるブランド管理の例

シャンパーニュ地方の特産スパークリングワインであるシャンパンに関してです。
シャンパンのブランドを守るため、20世紀後半に駄菓子屋などで売られていたシャンパン(シャンペン)サイダー、ソフトシャンパンの名称が使用禁止になったことがあります。

イタリア

ワイン生産量世界第1位

フランスは厳しい規制により、ワインのブランドを保護していました。

では、イタリアワインはどうでしょうか。
ここで、イタリアワインを語るうえで欠かせないワードは、

ゆるさです。

一応、イタリアでもAOC法の様な、原産地によるブランド管理法(原産地統制呼称法)は存在します。しかし、イタリアでは曖昧な基準や政治的な癒着が理由で、イタリアワインのブランドを保護できませんでした。

ゆるい管理が、フランスほどのブランド力を築けなかった原因の1つです。

では、
イタリアワインの良いところをみていきましょう。

イタリアでは、ワインの飲み方にルールが定まっていない場合が多く、
フランスほどマナーを気にする必要がありません。

また、
イタリア南部では、昼間からグラスを片手におしゃべりできるようにするため
アルコール度数の低い、軽めなワインが生産されています。
(イタリア人はおしゃべり好きなんですね)

これらイタリアワインの特徴はゆるさともカジュアルともとれる国柄によるものです。

また、
フランスワイン宮廷料理との結びつきを重視する傾向であるのに対し、
イタリアワインは、郷土料理や地方色の強い料理との結びつきを重視する傾向にあります。

以上の特性からも、庶民派なワインを生産するイタリアが、
ワイン生産量世界1位を誇っていることは納得できるのではないでしょうか。

変化

基礎的な知識を得られた

本書の内容は、「浅く、広く」でした。
しかし、初心者の僕にはおなか一杯になるほど濃い内容でした。

僕が本書を通して、得られた知識は、
テイスティング、グラスの種類、マナー、高級ワインの種類、ぶどうの品種など様々です。

その中でも、ワインのマナーにこだわる理由が分かりませんでした。
それが読後には、マナーが必要な理由とその仕組みを知ることができました。

ちなみに、ワイングラスのマナーが必要な理由と仕組みについてです。

酸味の強いワインを飲むとき、酸味の味覚が多くある舌の両端をワインが通ると味に大きな影響を与えます。口の狭いグラスであれば、多く飲むためにはグラスや首を大きく傾ける必要があり、ワインが舌の中心を早いスピードで流れます。なので、ワインが舌の両端に触れるのは後になり、ワインを程よい酸味で楽しむことができるわけです。

このようにワイングラスに関してマナーがある理由は、グラスの形や薄さがそのワインにあったものを選ぶことで、お客様にワインを最大限に楽しんでもらうためです。

僕はそんな緻密な計算のもと、相手が最大限ワインを楽しめるよう工夫するワイン文化を知り、
その魅力にひかれました。

著者紹介

著者、渡辺順子わたなべじゅんこさんはニューヨーク大学のESLを修了後、
たまたま飲んだ1本のワインでワインの世界にふみいれる。
アメリカでのソムリエ認定やフランスのワイン留学を経て、
ロンドン発祥のオークションハウス大手であるクリスティーズのワイン部門に入社。
同社にて、アジア人初のワインスペシャリストとして活躍。
オークションに参加する世界的な富豪や経営者へのワインの紹介や指南をはじめ、
一流ビジネスパーソンへのワイン指導も行う。
現在は、プレミアムワイン株式会社の代表として独立し、欧米のワイン文化を日本に広める傍ら、
アジアの弁護士をはじめとした富裕層を対象としたワインセミナーも開いている。

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