偉人の名言を学ぶ学問「哲学」
僕が本書を読むまでの、哲学のイメージです。
例えば、「鉄は硬い」と決めつけている山田さんがいるとします。
山田さん:「鉄は硬い」
結果を出したい人は哲学を学びなさい ビジネスが180度変わる問題解決の授業 p44
心の中のソクラテス:「でも、高熱なら溶けるのですよね?」
山田さん:「たしかに。ということは、鉄は軟らかいともいえるのか・・・」
これは自分を俯瞰的に見る方法の1つで、ソクラテスの問答法、立派な「哲学」です。
では、本書のいう哲学とは何でしょう?
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概略
今、日本のビジネス界で哲学研修をさせる会社が増えてきています。
「ビジネスとはこうあるべき」を教えるのではなく、
哲学をツールとして利用するための研修です。
筆者は、リクルートマネジメントソリューションズの研修講師として、伊藤忠商事、JTなど
大手企業で研修をしており、哲学研修のパイオニアの1人です。
以下は本書の構成です。
- 問題解決ツールとしての哲学紹介
- 実際の問いを哲学的に解釈し、問題解決
2.の問題解決では、ビジネス、家庭、お金など様々な分野の問いを取り扱います。
(僕は演習のつもりで考えながら読んでいました。)
例えば、
「人の動かし方」
「なぜ人は不満を感じるのか?」
「煙草をやめさせるのは悪か?」
「いい人はなぜリーダーに向かないのか?」など
合計50個近くの問いを哲学的に解釈し、扱っていきます。
今、哲学を学ぶ4つの理由
グローバル時代
欧米では、エリートは哲学を学んでいます。
ボーダーレスな世界で、彼らといつ遭遇するかわかりません。
彼らの言語を聞き取れても、会話の次元についていけるかは別の話です。
お手本のない時代
日本は21世紀に入って以来、ずっと低迷しています。
引かれたレールの上を通り、だれかがお手本を提示してくれる。
そこから脱却するためには、ゼロからものを考える必要が出てきます。
AI時代
AIの急速に発展した世界で、なくなる職業は多いでしょう。
では人間は生き残れないのか?
人間の創造的な思考がAIに勝つキーワードです。
パンデミック時代
コロナウイルスによって、
観光事業は苦しんだ反面、ゲームや食品事業は売上が伸びたのではないでしょうか。
状況の変化が激しい世の中で、これまでの概念にとらわれず、
考え方を刷新する力に注目が集まっています。
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変化
主に2つの変化がありました。
問題に立ち向かう力を得る
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友達に「ブサイク!」と言われたら、傷つく方が多数でしょう。
ブサイクはネガティブワードで、良い印象は1つもないですね。
では、ブサカワならどうでしょう。
突然、ネガティブの要素は消え、愛らしくなり、ブサイクの需要が増えます。
このようにマイナスをプラスに発展させる論理のことを弁証法といいます。
弁証法はヘーゲルによって生み出されました。
ヘーゲルによると、何事も必ず問題を生じます。
結果を出したい人は哲学を学びなさい ビジネスが180度変わる問題解決の授業 p56
そして大抵私たちはその問題を切り捨てたり、そこから目をそむけたりしがちなのですが、それでは物事は発展しないというのです。そこでヘーゲルは、あえて問題を取り込み、それによってより発展した状態を目指すべきだとしました。
ある日、僕が働いている焼肉屋さんで、お客様からクレームが入りました。
これまでは、ミスを引っ張り次に進めませんでした。
しかし、本書を読んでから、ミスを逆に生かすという考え方ができるようになりました。
実際、ものの配置を変えたことで、ミスが減り、作業の効率化もできました。
ビジネスの場でも同じことが言えます。
上司との意見の対立を放置するのではなく、向き合うことで、発展的な製品や企画が生まれます。
クリエイター、アーティストの視点を知る
思いもよらぬ方向から意見を飛ばす同期
企業をして売り上げを出す社長
そんなクリエイティブな、アーティスティックな発想で結果を出す人ってかっこいいですよね。
本書で学ぶ哲学において、哲学者≒クリエイター、アーティストである印象を受けました。
無意識に哲学的思考をしている人が、クリエイティブな人材として結果を出しているのです。
これは筆者が実際に経験したことです。
ある旅行会社で行われた研修の話です。
旅行プランを作成するときに哲学的発想を使うのであれば、高齢者ではなく、内臓に注目するべきだといいます。一見、突拍子もないアイデアですが、確かに、長時間乗り物に乗ったり、トイレに行けなかったり、食事をしすぎてしまう旅行は、内臓からすると大迷惑です。
そして生まれたのが内臓にやさしいツアー。
高齢者にやさしい旅行より、魅力や独自性がありませんか?
内臓にやさしいツアーのようなアイデアを出し続けることが、結果を出すことに繋がります。
本書ではアイデアを出す方法や考え方を事細かに書かれており、
会話をするときの発言や問題解決するときの考え方に活きています。
もちろん、たった1回読んだだけで、面白いアイデアを出せるようにはなりません。
しかし、ものの見方やアイデアマンの視点を知ることができました。
筆者紹介
筆者、小川仁志さんは、商社(伊藤忠商事)→市役所→フリーターという異色の経歴。
これまでに100冊以上の書籍を出版、
現在は山口大学国際総合科学部教授として、市民のための哲学を広める。
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